車と楽しく付き合う方法をご紹介します!

速さに罪はない

【問題は集中力】

 

大好きな日本のことをとやかく言うのは気がひけますが、正直言って私のようなヨーロッパの人間から見ると日本の交通政策にはいささか残念に思われることがあります。日本の道路ではほんの少しの例外を除いて、ヨーロッパのようにクルマの性能を心ゆくまで楽しめる機会が少ないからです。速度制限は一般道路でも高速道路でも概して低く、特にその多くが世界的な基準に照らしてもよくできている高速道路でさえ原則100km/h、ときには80km/hに制限されています。

 

しかし、実際にはそれよりかなり速いスピードで走ることができそうです。当然と言うべきか、これら高速道路の速度制限は多くのドライバーによって無視され、120〜 130km/hで運転するのが当たり前のようになっているだけでなく、なかには免許をなくすのが1昔しいからそれをしないだけであって、もしそうでなけれはさらに速く、しかも依然として安全に運転できるはずと考えているドライバーも少なくないようです。

 

結果として、多くのドライバーに法を犯させることになるのは決して望ましい状況ではなく、どんな法であってもそれが人々の常識にそぐわないのであれば、強制することができないという事実を自ら証明していることにもなります。さらに言えば、スピードが遅いと同じ距離を行くのにも必然的に時間が掛かるだけでなく、精神の集中も妨げられて危険です。集中力の欠如は眠気を誘い、高速道路での重大な事故原因のひとつとなります。

 

 

高速道路は最も安全

それとは別に、一般道路でも高速道路でもしばしば見られる“追い越し禁止区間 もあまり現実的でないものが多く、しばしば無視されてぃるのが実状のようです。日本では現行の道路規則と速度制限は明らかに何十年も前に決められたものと思われ、それらが導入されてからあとになって改善された、クルマの安全性に関する大幅な進歩が考慮されていないように見えます。現在私の住んでぃる隣の国のフランスでは“オートルート”(高速道路)の130km/h制限でさえ強制することは難しいとしだいに理解されてきましたし、実際、150km/h程度までであれば警官も大目に見てくれます。

 

ヨーロッパで唯一、“アウトバーン”と呼ばれる高速道路の多くの区間で速度制限を設けていないのがドイツですが、興味深いことに、単位当たりの交通事故による負傷者のデータは他のほとんどの大陸諸国より少
ないことを実証しています。正確に言えばアウトバーンの速度無制限区間にも一応130km/hの“推奨最高速度”はあります。ただし、それが問われるのは万一事故が起きたときだけです。

 

しかし、速度制限がどうであれ、高速道路が一般道路より安全なことは世界中変わりません。というのも、高速道路には信号も一旦停止の標識もありません。危険なものが何もなく、あるとすればクルマ自身だけだからです。もともとそのために作ってありますから、原貝」として片側だけでも最低2車線と緊急車線(路側帯)が設けられ、反対側とはガードレールまたは広い緑地帯によって仕切られた構造が高速走行に適しているのです。

 

 

速さが危険なとき

高速道路で最も頻発し、またしばしば最悪な事態を引き起こす事故の原因は眠気と玉突き衝突です。
眠気は単調さや運転時間がダラダラと長くなる低い制限速度が主な理由で、一方の玉突き事故は1交通量が多いとき、特に霧の中だと発生しやすくなります。

 

同じスピードで同じ車線を走るクルマ同士の間隔が不充分なときに起こるのです。そのうちの1台がなんらかの理由で強くブレーキを踏み、直後のドライバーがそれに驚いて突っ込んでしまうのがきっかけです。
こうなるとそれ以降のクルマは次々と折り重なるように衝突し、玉突き事故になるのは避けられません。
このことから、前のクルマに一定速度でついていくときは直前のクルマだけでなく、たとえ先のほうで何かが起こってもすぐに気がつくように、2〜 3台先のクルマの動きにも注意すべきです。

 

 

トラックは別の乗り物

高速道路でトラックを追い越そうとするときはくれぐれも次のことに注意してください。もしかしたら陰に隠れてぃて見えないかもしれませんが、実はトラックの前にさらに遅いクルマがいる可能性があり、そのためトラックが急に車線変更してこちらに出てこないともかぎらないのです。

 

トラックのような重量級のクルマは加速が悪く、いきなり目の前に飛び出されるとこちらのブレーキが間に合わずに追突してしまうかもしれません。それを確認しないかぎり、高速のまま追い越すのは危険です。高速道路の中には、夜間ヘッドライトをハイビーム(上向き)にしても反対方向を走るクルマが1玄しくないように、中央分離帯に目隠しのスクリーンが付いているところがあります。

 

けれども、注意しなければならないのはトラックのドライバーは乗用車より高い位置に座っているため、せっかくのスクリーンも役に立たないということです。物事は臨機応変に対処しなければいけないという好例です。

 

 

追い越したら必ず戻る

自分の車線を意識しないドライバーが多すぎます。片側2車線ないし3車線ある高速道路で何の理由もなく、また後ろからクルマが迫っているのにミラーで確認することもなく、追い越し車線上に漫然と居座ったままで走るドライバーを見掛けます。
そのため、あとから来た速いクルマはいったんスローダウンせざるを得ず、そのクルマがいなくなってから再び元のスピードまで加速しなければなりません。
このとき、後ろのドライバーが速度違反をしているかも知れないとぃうのは言い訳にすぎません。
追い越される側のドライバーにしても警察官ではないわけですし、自身、かつて一度も速度違反をしたことがないとぃうわけでもないでしょぅから。

 

 

パッシングは一瞬だけ

遅いクルマの後ろに追いつぃたあと、追い越しの意志表示としてパッシングライトを使う(ヘッドライトを激しく点滅させる)のは、以前ならともかく,、いまやたいてぃの国で無礼な行為だとして嫌われています。
一般的には方向指示器(日本なら右の)を使うのがより不快感を与えなぃ無難な方法として認知されていますが、もし前のクルマが引き続きこちらを無視しているようであれば、そのときに限ってハイビームを一瞬だけ点減させてやるのも悪くないでしょう。
たぶん、そのドライバーは|あなたのクルマをミラーで確認しそこなったのでしょぅから。